Jose Lima
2010年5月24日
その男は去年の8月。シーズン終盤にロッカールームに現れた。
金髪で、長髪で、なんだかツイストがかかっているような感じの髪型だった。
が、帽子を脱ぐと坊主だった。ヒゲは本物だった。
遠征の際はそのカツラを持参だった。空港でもかぶっていた。税関でも脱がなかった。税関の人が気づいた瞬間、自らカツラを取って笑っていた。アホやなぁ、と思いながら見てたけど、結構おもしろかった。
来ていきなりチームに馴染んでいる感じだった。彼の周りの空間は彼だけを中心に回っているようで。笑いが多かった。
日本語も知っていた。なんて言うてたのか覚えてないけど、何個か単語を知っているようだった。日本語で何か言う時、なぜか手を合わせていた。時々お辞儀もしていた。
登板日は雰囲気が違った。特に目が。
投球練習は全く力を入れて投げず、ただキャッチャーとキャッチボールしているだけのように見えた。誰かが「投球練習は全然本気で投げへんねん。でもあれが彼。」と教えてくれた。
マウンドさばきは性格とは違い丁寧だった。常に自分のペースというか。だから判定にも納得がいかなかったら回の合間に審判に詰め寄ることもあった。口論していた時もあった。退場くらっていた時もあった。元メジャーのプライドかな。
ベンチ内でチームを盛り上げようという姿勢は素晴らしかった。自分がプレーしていない時は特に。自分が交代した後でも大声で声をかけていた。あそこまでのリーダーシップは見たことない。
折れたバットはテーピングで必ず巻いて、観客の小さい子供にプレゼントしていた。優しさと野球ファンを大事にする気持ちが伝わってきた。
野球以外の時はほんとにうるさかった。
トリートメントの後にハグを求めてきて、しょうがなくしたら耳元でキスする音を立て、まじで切れた。が、それもみんなからの笑いを誘うためだったと知り、その後はこっちもジョークに付き合った。でも、俺を笑いに使うなよなぁ、って内心思ってた。
ある晩、愛人を連れて自分の部屋に来てマッサージを頼んできた。即断った。
試合前の国家斉唱を選手である彼がやった。驚いた。そんなんあり!?(笑)って。
チームの負けが続いていた時、試合前に選手だけのミーティングを開き、みんなを鼓舞するというか、気合いを入れ直すというか、最後の方、全然話まとまってなくて試合時間ギリギリになってみんな慌ててたけど、でもそういうことができるのも彼だからこそだったと思う。
シーズンが終わった時、「お前の連絡先を教えてくれ。必要な時は電話する。」と言ってくれ、名刺に連絡先を書いて渡した。すぐなくしたんやろな。
メジャーリーグで活躍していた頃の彼は知らないし見たこともない。話だけ。
そして去年一緒に過ごした時間は2ヶ月もなかった。やのに思い出多いなぁ。インパクト強すぎたからかな。
物怖じしないその姿。今でも思い出す度に勇気をもらえます。
急すぎて、ビックリしすぎて、今でも信じられへんけど、Limaの冥福を心からお祈りします。
I pray his soul may rest in peace.
ありがとう。
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